第5章 甘味屋での甘い休息
梨を一口齧れば口の中がうるおい、飲み込んだあとは爽やかな酸味が舌先に残る。
「あの、やっぱり光秀さんも食べてみません?凄く美味しいですよ。甘い物は疲れた心を癒したり、それに疲れた頭にも効くって証明されてるんですよ。」
「生憎、食い物の味に興味がなくてな。腹がふくれればそれでいい」
「それ、どうかと思うんですけど……? 美味しいものを食べて幸せを感じること、光秀さんにはありませんか?」
「ついぞ、ないな」
(嘘……? 味覚…ないのかな?どんな食生活を送ってきたんだろう。ちゃんと食べてるのかな?)
「甘い物を食べると、いい息抜きになると思うんですが……」
「そうか。そこまで言うなら」