第5章 甘味屋での甘い休息
「愚弄だなんてしてません。本当のことを言っただけですけど…」
「き、貴様っ…!!女中ごときが我らに逆らうとは…っ!!!」
顔を赤黒くした男のひとりが、勢いよく腕を振り上げる。
(ま、まずい……!殴られるっ…)
思わず腕で顔を覆うと–––
「理で勝てないからといって手を上げるのは感心しないな。器の小ささが知れるぞ」
(光秀さん!?)
私の目の前で男の拳をガッチリ掴み、光秀さんが涼しげに笑う。
「どうして、ここに……」
「指南は休みにすると言ったが、監視まで休むと言った覚えはない」
(じゃあ私、ずっと尾行されてたの!? 光秀さんのことを聞き込みしてたのもバレてる……!?)