第1章 こんにちは
「......新しい審神者か」
そういうと三日月宗近は自身の本体をこちらに向けた。
所々刃こぼれがあり、ぼろぼろだった。
「帰れ、斬られたくなければ」
私は心なしか三日月宗近が泣きそうに見えた。
「......帰りません、貴方が笑顔になるまでは」
「...........!」
三日月宗近は驚いた顔をしたがすぐに直しこちらを睨んだ。
「俺の言うことを聞け、人の子よ」
威圧感が半端なくて怯みそうになる、が、
「聞けません、三日月宗近様。私はまずここを浄化して貴方の心身のケアをし、幸せを感じてもらわねばならないのです」
「俺はもう人の子など信用しない。幸せも何もかもが要らぬ、早く出ていけ、俺はここで本丸と共に朽ちるのだ!」
三日月宗近の周りから赤黒い靄が現れる。
まずい、堕ちようとしている。
「三日月様!なりません、堕ちてはいけません!気高く美しい貴方を見失ってはいけません!」
三日月宗近の青い装束が黒く染まってゆく。
止める方法を考えなければと思いこんのすけに話しかけようとしたその時、三日月宗近が静かに涙を流した。