第15章 夜明けの空
小夜に引き続き、陸奥守が旅に出た。
そして陸奥守ももっと逞しくなって帰ってきた。
陸奥守「おんしゃあの為にわしはこれからも傍におるきに」
陸奥守の言葉に蓮月は涙と笑顔で答えた。
そして陸奥守が極になって帰還した夜。蓮月の自室に一振が入ってきた。
長谷部「…主、本日は大事なお願いがあって参りました…。」
来るとは、分かっていた。みんな進む道だしましてや三振目、分かっていた。
「…。」
分かっているのに、言葉にできない。言葉が出ない。
「…。」
上手く言えずに俯く蓮月に手を伸ばし、蓮月の手を優しく握った。
長谷部「俺は貴方の刀です。貴方の主命で動きますよ。」
優しい長谷部の言葉につい、甘えそうになる。
でも、もう昔の自分とは、違う。
「…必ず、戻ってくるのですよ…!」
長谷部「はい、必ず。主命を果たします。」
蓮月は握られた手を優しくでも強く、握り返した。