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Amor vincit omnia__愛の勝利

第16章 魔王の親(男鹿辰巳)



「辰巳のバカ!!もう知らない!!」
「なっ!?そもそもお前が!!」


石矢魔高校でおしどりカップル、なんて可愛らしい名前をつけられているはずの男女。
女の方は踵を返して颯爽と教室を抜け出した。


「今回はお前が悪い」
「古市まで!?」
「だー!アブ!!」
「お前もかよベル坊!」


あーもうと机に突っ伏する男、男鹿辰巳。
アバレオーガ、なんて異名を持つ彼は今や誰もが知る子連れ番長なのだが。先程彼が喧嘩をしていた女、姫川頼華は彼の幼馴染で彼女である。あ、そこの貴方、姫川?って思いました?思いましたよね??そう、彼女は東邦神姫の姫川竜也の妹…この話はまた今度にしましょう。


「あーったく…なんだっていうんだよ…」



事の発端は本の些細な出来事。
いつもならヒルダの用意したベル坊のミルクを男鹿は忘れずに持ってきているはずなのだが、それを今日は忘れてしまい、ヒルダが学校まで届けにやってきた。
ヒルダと頼華は面識はある。勿論付き合っているのもヒルダは知っているし、人間界でのベル坊の親だとヒルダが決めたのも男鹿と頼華だ。
しかし、ヒルダが学校までやってきたことで、ベル坊の親=男鹿、それはヒルダが嫁だと勝手に勘違いした連中がヒルダを男鹿の嫁だなんだと言い出していた。
男鹿もそれは否定すべきなのだが、なんせこの男、女心を分かっていないのだが。
それが頼華を不機嫌にさせたのだが。




「でもさ、男鹿」
「なんだよ古市」
「お前が15mベル坊から離れたらいけないんだよな?」
「あ?そうだが?」
「じゃあ頼華ちゃんも同様じゃねーの?」
「あ?」
「頼華ちゃんだってベル坊の親なんだろ?」
「…あ、バカ古市!」


気づいた頃にはもう遅い。ベル坊は頼華が離れていった事で癇癪を起こし出した。
恐らく頼華がどんどんベル坊から距離を置いているのであろう、癇癪が最大限に達する。


「おい!ベル坊!!泣くな!!」
「赤ん坊に言っても無理だろ!」
「頼華のヤツどこに居やがるんだぁぁぁ!」



このままでは自分の身が危ういと男鹿は教室から飛び出した。
するとどうだろう、癇癪が徐々に弱まっているでは無いか。

「近くに居るのか?おい頼華!!」
「あーもう、何よ!!」

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