第15章 あなたは太陽(跡部景吾)
「頼華、顔見せな」
「なんか恥ずかしい…」
先程と打って変わって、頼華は浴衣の乱れを直すと跡部に背を向け布団に潜り込んでいた。
跡部はといえば、背を向ける頼華を背後から抱きしめて離そうとはしない。
「無理、させたか?」
少し気になっていた。自分の欲を抑えきれずに神社で手を出してしまったことで傷つけたのではないかと。
「してないよ!」
「なら、顔見せてくれ」
頼むから、そう懇願する跡部に何だか申し訳なくなって頼華はゆっくりと跡部の方を向き直した。
「あ、あのね、」
「あぁ」
「そ、その…なんて言うか…」
「?」
「…気持ちよかった」
伏せがちな目でゆっくりと跡部の目を見つめながら言う頼華。何時もとは違う雰囲気の中、気持ちが高まったのであろう2人。それは自分も跡部と同じだと頼華は考えていた。
「そうか、」
内心ほっとした跡部が頭を撫でると照れくさそうに笑う頼華。
「今日、景吾くんとお祭りに行けてよかった」
「楽しめたか?」
「すごく楽しかった!」
「それはよかったな」
「また、来年も行こうね」
「!…あぁ、毎年連れて行ってやるよ」
それは彼からの永遠の約束。
あなたは太陽
(あなたがいれば)
(私はいつでも笑えるよ)
(あなただけを見つめて)
(そういえばお泊まりなの…?)
(あぁ、お前の父親には了承済だ)
(えっ、そうなの!?)
(十夜さんにも何とか許してもらった)
(あー…十夜厳しいからね)
庭に咲く向日葵たちがふたりを見つめていた
End