第13章 告白(火神大我)
あぁ、もしかして、と火神は思った。
「…もしかしてそれ聞いてたから1週間も部活来なかったのか?」
確かに最後に告白されたのは1週間前だ。それからだ。彼女を見なくなったのは。
「…そうよ、悪い?」
「…いや、悪くねぇよ」
「…え…??…!」
彼女の頭にキスを落とせば小さい体をさらに小さくさせて紅に染まる頬。
「…好きなやつってお前だよ」
猫のように自由に行動する彼女だけれど昔から目が離せなくて。どんなに自分が傷つこうとも周りを第一に考えている姿が放っておけなくて。自分の知らないところに行ってしまうのを一番恐れていたのは火神だった。いま捕まえておかないとまた何処かに行ってしまうような気がして素直に想いをぶつけた。
「う、嘘だぁ…」
「…こんな状況で誰が嘘なんかつくかよ」
そう言えばぽろぽろと彼女の目から涙が零れ落ちた。思わぬ涙に少し焦る。
「な、なんで泣く…?」
「…わ、分かんないっ」
やっと繋がれた想いに心の荷が降りたように零れ落ちる涙を己の袖でぬぐい取る。
「…待たせた、な」
「ほんとに、待たされた、よ」
告白は後悔と勇気と素直さ
(遠回りした道のりを埋めるように)
(いっしょに歩いていこう)
(あー、戻るか、部活)
(…怒られるね、私)
(俺も一緒に怒られるわ)
手を繋いで体育館に戻るふたりの後ろに夕焼けが眩しく輝いていた。
end