第13章 告白(火神大我)
これ程幼馴染で良かったと思ったことはない。いつでも彼のそばにいる理由になる。けど幼馴染なんて所詮はただの言い訳で。小さい頃父の仕事の都合で、アメリカに行ったばかりの私はなかなか友達を作れなくて。そんな時に、出会ったのが大我だった。何時しかよく遊ぶようになって。大我が日本に戻ると決まった時、両親の反対を押し切って私も大我を追うように日本に戻ってきた。
最初は周りよりだいぶ大きな身長から怖いイメージが付き纏っていた大我だったけど、ウィンターカップ優勝してからというもの、女子からの人気が上がっていた。告白なんてもう、何回見たのかな。と思いつつもまた今日も大我への告白シーンを見てしまったのだけれど。
「…悪ぃ、」
いつもの様に断る大我の言葉にほっとする自分がいる。立ち聞きなんてしたくないけど気になるんだから仕方ない。
「…俺、好きなやつ居るんだわ」
いつもの言葉のあとにそんな言葉を聞くなんて思ってもいなかったのだけれど。いたたまれなくなって私は大我と大我に告白している可愛らしい女の子に気づかれないようにその場を後にした。
「…マジか」
気づけば屋上に来ていて。どうやって来たんだっけななんて考えながらも先程のことを思い出した瞬間力が抜けてしまって。フェンスに凭れるように座り込む。
「…大我も男の子だもんねー…仕方ないよ」
自分に言い聞かせるようにして空を見上げれば雲ひとつない快晴に吐き気がした。
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「…ったく、頼華ちゃんまた来てないわけ?」
「これで1週間だぜ?監督」
「ちょっと、火神くん!」
「…なに、…ですか。」
「さ が し だ し て こ い」
「えぇ!?俺!?」
「ダァホ、お前しかいねぇだろ!」
マネージャーである頼華が部活に顔を出さなくなって1週間。監督や日向にドヤされた火神は仕方なしに頼華を探す事にした。
「…ったく、何やってんだアイツは」
小さい頃から男勝りな彼女。かと思えば自分から擦り寄ってきたり、気分が乗らない時は1人で自由に行動していたり。まるで猫のような性格だった。誠凛に入学してから、日本だからと突然に火神の事を苗字で呼び出した彼女がとても遠く感じた。そして1週間前から最低限の授業しか出ないようになっていた彼女を見てはいない。