第10章 だって(跡部景吾)
均等よく鍛え上げられた跡部の身体に頼華の鼓動は更に激しくなった。と同時に更に激しさを増す律動。
「あっ、あ…ん、けいご、もう…っ」
「…あぁ。いいぜ、俺ももう…っ」
「い、いっちゃ、イっちゃう、景吾、景吾ぉ…!」
「頼華、頼華…!!」
頼華の身体が再び痙攣すると同時に跡部も己の欲望を彼女の太腿に吐き出した。
すやすやと跡部の腕の中で眠る頼華。
来客用ソファは跡部が新調させたものでふたりの身体をすっぽりと抱き込んでいた。
「…ん、けいご、…」
跡部の腕の中で寝言を言う彼女の顔は穏やかで。彼女を見る跡部の表情も慈愛に満ちていた。
そして、次の日。いつもの様に登校している彼女の元に友人が駆け寄ってくる。
「おはよー!頼華!」
「あ、おはよ!」
「ちょっとちょっと!!また噂になってるじゃん!!」
「え?…今度は何」
「跡部くんと最後までいったらしいじゃん!」
Cまでいくとか頼華も隅には置けないねー!とばしばし肩を叩く友人の言葉に頼華は顔を真っ赤にした。
「俺様と頼華の仲だから当然だろ?」
アーン?と頼華は後ろに引かれ気付けば跡部の腕の中。
「ふっ、顔真っ赤だな」
跡部はそう言うと頼華を引き連れて教室へ向かうのだった。
だって!
────僕ら思春期真っ盛り!
(暫くの間彼らの噂は)
(学内持ち切りだった)
(もー!誰なのよ!この噂の主体は!)
(アン?この俺様だよ)
(あー……やっぱりか………)
(なんだ、そこは喜べよ)
(喜ぶわけないでしょーが!)
でもまぁ、可愛かったぜ?あの時の頼華の顔、そう跡部が言えばもういいや、と思う彼女であった
end
song by E気持/跡部景吾