第7章 奥手な皇帝(真田弦一郎)
教室には頼華と真田の2人きり。いつの間に皆居なくなったのかなと頼華は思いつつ目の前の真田に困惑する。
「お前は身体で教えないとわからないタイプか」
そう頼華の耳元で話す真田の声は少し低く、頼華の脳髄を刺激する。真田が頼華の頬に手をかけた。真田の一挙一動に反応する頼華を楽しむように首元をなぞる真田はいつもの真田ではなかった。
無意識に頼華が目を瞑ると同時に己の唇に真田のそれが重なる。初めはリップ音だけだったものが次第に深くなっていき。立っていられなくなった頼華を最後は真田が支える形になっていた。真田の胸の中で呼吸を整える頼華の目は潤み頬は紅潮している。
「は、ぁ…げん、いち、ろー…」
「…どうした」
「……して」
「?」
「…もっと、して?弦一郎」
それに答えるが如く真田は再び頼華に口付ける。
「…もっと舌を出せ」
真田が頼華にそう言うと躊躇いもなく頼華はそうする。それを嬉しそうに顔を弛めた真田は彼女の後頭部を支え深く口付けた。
どれだけの時間キスをしていたのだろうか、漸く真田が唇を離した時には頼華は完全に腰が抜けていて。それを見て真田は頼華を抱きしめる。
「…頼華、」
「制服はちゃんと着ろ、でないと」
お仕置きするぞ、と頼華に言う。彼女は真田の胸の中で小さく頷いた。
「…俺に嫉妬させるな」
真田がそう言うと彼女は嬉しそうに笑っていた。
奥手な皇帝
──本当は狼な皇帝様
(弦一郎、歩けない…)
(む…そうだな、俺のせいか)
(もう!バカ!)
(そう怒るな、可愛い顔が台無しだ)
そう言った真田は顔を真っ赤にした頼華を抱き上げ2人分の荷物を背負い部室へ向かった。すでに部室にいた赤也たちが驚いた叫びをしそれを見て笑っている幸村と柳がいたのはもう少しあと────
end