第4章 安らかなひととき(XANXUS)
「ん……XANXUS…?」
「…起きたか」
寝ぼけ眼で目を擦る頼華。25になり大人の女性になった頼華だが所々で見せる顔はどこか幼くも見え。日本人の女性らしい大和撫子、とは言い難いが可愛らしく寝起きで微笑む顔はXANXUSだけのものだ。そんな頼華にちゅ、とリップ音を立ててキスをするとかぁぁと顔を赤めた。イタリアに住んでいるとはいえ、日本人の純粋な心のままで。どこまでも可愛らしい頼華にXANXUSの口元は弧を描いていた。
そんな静けさをかき消すかのように急に城が崩れ始めた。
「…XANXUSっ…!」
「…心配するな」
そう一言いい、崩れ落ちてくる城の壁を全て動かずに跳ね除けるXANXUS。ふと、外から聞きなれた笑い声に似た声が聞こえてきたと同時に2人が耳につけていた無線機からもいつもの五月蝿い声が響いた。
「…うるせぇ」
「あっ…XANXUS、壊しちゃダメだよ」
いいんだよ、というようにXANXUSは潰した無線機を投げ飛ばし目の前の人間を見る。金髪に王冠─どこかの王子と全く同じ髪型だ。ドカスが、と言いつつこいつが六弔花だなと察したXANXUSは静かに目の前の敵を見据えた。
ジル様。とその王子らしい男の横に立つ大柄の男、敵は2人かと思いながらこいつら如きに動きたくはねぇとXANXUSは椅子に座したままである。
「ねぇ、あたし降りようか…?」
XANXUSの戦闘の邪魔になるのではと頼華はXANXUSの膝の上から降りようとする、がそれはXANXUSの手によって止められた。
「…てめぇはここにいりゃいい」
俺だけで相手をするから黙って座っとけ頼華、と珍しくXANXUSにしては長く喋っていた。頼華は嬉しそうにXANXUSの胸元に寄り添った。XANXUSは頼華が妊娠してからというもの自分は任務に出ることもなく且つ頼華も勿論任務など仕事一切させなかった。
2人の雰囲気にイラついたジルとオルゲルトは総攻撃に入った。XANXUSも匣兵器─ベスターを駆使して闘っていた。が、ジルの姑息な手によりXANXUS達は攻撃を受けてしまった。
「…XANXUS!!」
XANXUSは頼華を咄嗟に庇い全身から血が吹き出していた。勿論ベスターからも。