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Amor vincit omnia__愛の勝利

第21章 あなたに(跡部景吾)




❀おまけ❀
(彼女を婚約者にするために跡部くん動きます)



あれから、毎日のように頼華のいる病院に通っていた。
頼華と会えなかったあの1週間、俺にとっても地獄のような部活は、以前の感覚を取り戻し部長としてしっかりとこなしていた。

忍足達にも"やっと元の跡部に戻って安心したわ"と軽く弄られたが、1週間の出来事と、頼華を婚約者にしたいことを伝えると背中を押してくれた。


とりあえず、まずは身内からだなとたまたま会社から帰ってきていた父と母の元に。
幸いにも、まだイギリスに帰っていなかったことが救いだ。


「親父、今話いいか」
「どうした景吾。」
「母さんも座ってくれ。」
「何のお話かしら〜」

目の前に座る2人に、俺は深く深呼吸をした。


「実はお付き合いしている人がいます。その人との結婚も考えています。まだ俺は中学生の子供ですが、本気です。どうか正式な婚約者にするのを許しては頂けないでしょうか。」


お願いします、と頭を下げた。
今まで、父と母にはそれなりに自由にさせて貰ったし、勿論恩もある。
だが、頼華以外の女との未来なんて考えられなかった。
例え、絶縁されても、頼華といたい、その気持ちしか無かった。


「…お前の気持ちは分かったよ景吾。そのお相手はどのような人なんだ?」



…来た。
正直、頼華と俺では確かに住む世界が違うのだと分かってはいた。
しかし、俺の両親ならば理解してくれる、そんな確信があった。

頼華の生い立ちを踏まえて、俺は全てを話した。
時々、自分の声が少し震えているようなそんな気がしたが、話し終わった頃には、話して良かった、そう思えた。
目の前の両親は、顔色ひとつ変えずに最後まで聞いてくれていたから。


「…そうか。頼華さんと言うのか」
「景吾にとって、その子はとても大事なのね」
「お前が決めたことに何も口出すつもりはないよ、景吾。話していなかったが、実は母さんも似たような境遇なんだ」
「え…母さんが…?」


ふふ、そうよ。と笑う母。

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