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Amor vincit omnia__愛の勝利

第19章 内に秘めるもの(男鹿辰巳)





「あー!タブ!!」
「あ、これ好きなの?ベルちゃん」


お昼休み、男鹿と頼華、ベル坊に、
古市とヒルダの5人は屋上にいた。



「そう、そうだよ、ベルちゃん!」
「だー、ブィ!!」


ベル坊と何やら戯れている頼華を横目に、平和だなーと古市は思う。


「…ちょっと疑問なんだが、男鹿」
「あ?なんだよ古市」
「ベル坊は強い人間に懐くんだろ?」
「あ?」
「だから男鹿には分かるんだけど……なんで頼華ちゃんにも懐いてるんだ?」
「…まぁ、言われてみればそうだな。」



確かにベル坊は悪魔だし、そこら辺の赤ん坊とは違う。
より強い人間に懐くとヒルダも言っていた。
だが、頼華はどうだ。
男鹿とは違って、暴力や喧嘩とは無縁の存在。
付き合ってからほぼ毎日のように一緒にいるが、そんな素振り見たことない。と、いうか想像つかないなと男鹿は思う。


「…ふむ、頼華に何故坊っちゃまが懐いているのかなどと、無い頭で考えているのか」
「相変わらず失礼だな、お前」
「頼華には秘められた力がある、そう私は確信しているが」
「秘められた力、ねぇ」


そんなものあんのか、とも思いつつ、まぁ懐かねぇより良いだろと軽く考えていた。




───────────



「男鹿と邦枝が屋上でタイマンだってよ!!」



北関東制圧を終え帰ってきた烈怒帝瑠、その頂点にいる、東邦神姫のひとりでもある、邦枝葵。
烈怒帝瑠の仲間がやられた、男鹿に、そう聞いた邦枝が男鹿を屋上に呼びつけたのだが。

そもそも、男鹿の性格上、女に手を挙げることなんて有り得ないことを頼華は知っている。
男鹿と邦枝がやり合えば、誰が得をするのかも。
伊達に男鹿と付き合っている訳では無いのだ。



屋上に向かう階段に足をやれば、傷だらけの寧々と夏目がいた。




「…あれ、頼華ちゃん」
「姫川頼華、」
「ちょっと、退いてくれる?」


ニコリと笑う頼華の後ろにドス黒い何かが見えたであろう、ひぃぃぃと、夏目に今にもしばかれそうなMK5は怯えていた。


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