• テキストサイズ

Amor vincit omnia__愛の勝利

第18章 お題(全キャラ+‪α)



土方十四郎
※元カノ=ミツバという捏造

*******


「…前の女と別れなきゃ良かったな」


ふぅ、と紫煙を燻らせながら土方はそう呟いた。
今日は久しぶりの非番になり、女中であり副長秘書という立場、そして彼女でもある頼華を誘って江戸の街に出ていた。
ほんの些細な出来事が火種になり、それはヒートアップして口喧嘩がはじまった。
いつもならお互いにどちらかが折れるのだが、今日は何故か違った。
お互い1歩も引かず、そして土方は言ってはならない言葉を口にしたのだ。

それを何となく口にした土方だが、すぐに後悔した。
目の前の頼華の目からは大粒の涙が零れ落ちていたから。



「そんなに、前の女性がいいなら戻ればいいじゃないですか!」
「……」
「…あたし、知ってるんですよ、沖田隊長のお姉さんでしょ!?」
「頼華、」
「ミツバさんみたいに、可愛くないし…!」
「頼華!」


わぁぁっと泣きじゃくり始めた頼華を咄嗟の判断で抱きしめた。



「離してください…っ!」
「…頼華、」



やってしまったと後悔しても尚のこと、頼華の涙は止まらなかった。



頼華は知っていた、土方と沖田の姉、ミツバが昔付き合っていたことを。それを聞いた時、戸惑いはした。だがやがて、それは頼華にとって大きな足枷になっていた。

土方と口喧嘩しても今までは直ぐに仲直り出来ていたのに。
聞いたのがつい先日だったのもあってか、口をついて出る言葉は止まらなかったのだ。




「あ、たしだって…銀ちゃんのところ────」


そこまで言いかけた頼華の言葉を聞きたくないと土方は口を塞いだ。浅いそれはやがては深くなり、土方は自分の思いをわかって欲しいと、頼華に流し込んだ。



「ふ、……っ」
「…行かせねぇぞ、万事屋になんか」
「土方さんには関係ないっ…!」
「関係大アリだろ」


絶対に他の野郎の所なんかには行かせまいと土方は頼華を強く抱き締めた。

/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp