• テキストサイズ

Amor vincit omnia__愛の勝利

第18章 お題(全キャラ+‪α)



火神大我

*******

「…前の彼女の方が分かってくれたけどな」

つい口走った自分の言葉にハッとする火神だったが、
もう既に目の前にいる彼女の目からはボロボロと涙が零れていた。


「…なら前の彼女のとこ、戻ればいいじゃん…!!」


俯いて震えた声で言う彼女。
耐えられなくなったのか走り出そうと踵を返す彼女を火神は慌てて抱き止めた。


「離して、よぉ…!」
「…俺が悪かった、ごめん」


そもそも、喧嘩の理由はほんの些細なことだ。
バスケの試合で優勝した際、よくチアが絡んでくるのは日常茶飯事なのだが、それをいい加減理解できないと彼女が言ったのだ。
確かに、アメリカ育ちの火神とは違って日本生まれ、日本育ちの彼女には理解できないのはわかる。
そこから普段の鬱憤が爆発してこうなってしまったのだが。
火神が言う前の彼女、なんて本当は火神にはいない。
頼華が最初で最後の女だからだ。

なんでこう口走ったのか、
火神もまた頼華の男女構わずのフレンドリーさに理解出来ないでいたから。
まさか何となく口走ったことで頼華がこんなに傷つくなんて思ってもいなかっただろう。



「ま、前の彼女のとこ、戻ればいーじゃん…!」
「…んなもん、いねぇよ」
「っ……」
「…嫉妬した」
「え…っ?」
「お前が…頼華がいつも誰彼構わず優しいから…」
「……」
「…男との距離、近すぎ」
「…!」


まさか火神が嫉妬しているだなんて夢にも思っていなかった彼女。


「…なぁ、どうやったら機嫌直る?」
「…きす、して?」
「…いくらでも、してやるよ」


ちゅ、ちゅ、と壊れ物を扱うように火神は彼女にキスを落としていった。

/ 159ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp