• テキストサイズ

水際のテラル

第3章 兄について思う2,3の事



sideイルミ


ぐさりとクリームを纏った果実にフォークが突き刺さり、柔らかいスポンジが崩れた。
もぐもぐと膨らんだ頬っぺたが動く。
胸焼けしそうな甘ったるいそれを、幸せそうに頬張る兄は此方を全く見ない。

「美味しい?」

「うん」

問いかけても目線を上げることはなく、次は何にしようかとテーブルの上をさ迷ってる。

それが何となく面白くないと思って、アレコレちょっかいをかけたのは割りと昔の事で、今となってはもう諦めてしまっている。

ハルイは食べることが好きだ。
あまりに幸せそうに食べるし、食べても太らない体質だから好きなようにさせている。
ミルキが太ったのはハルイせいではないだろうか。
キルアはそうならないように見張っとかないと。


家の食べ物には毒入っている。
それを小さい頃からこうも食べるから、13歳となった今ハルイは特別修行するまでもなく毒に強い。

「この後の仕事の帰りにお菓子買っていいー?」

「珍しいね、いつもは通販じゃん」

「店頭じゃないと買えないんだよぉ……」

むすっとした顔でシュークリームを頬張りすぐに破顔する。
幼児みたいにコロコロと表情が変わるこの男が、彼のゾルディック家の長兄だとは誰も思わないだろう、とこっそり溜め息を吐いた。
/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp