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金森さやかに壁ドンしてもらう夢小説

第1章 1章


「〇〇氏氏・・」
そっと名前を呼ばれる。目のまえに迫った彼女の顔が私の耳元に寄せられた。そして、耳に届いたのはひそめられた低音。
「私のことを、憧れの男子でも見るような目で見つめるのはやめて下さい、迷惑です」
最後の一言は、強調するように一呼吸おいてのささやきだった。
思わず目をしばたく。
彼女の長くて黒い髪がさらりと揺れ動いた。
かがみこんだ姿勢の金森さんが体を起こして、私から離れ、冷めた目で見下ろしてきた。その一連の流れをスローモーションのようにじっくりと観察している自分がいる。
何時ものつまらないそうな彼女の顔。死んだ目とそばかす。だるそうに開けられた口元。
耳の中では先ほどの彼女の言葉が幾度となく頭の中をこだましている。私だけに向けられたその低いささやき。
ああ・・・・・・やっぱり
「かっこいい…」
「はあ?」
金森さんが私の漏らしたつぶやきに怪訝そうに顔をしかめた。
うん、そんな顔も好き。思わずとろんと見とれてしまう。
すると、投げやりなためいきが返ってきた。
「ああ、もういいです。あなたには何を言っても無駄ですね。」
そういって金森さんはくるりと私に背を向けた。
もうどうでもよくなったみたい。
うん、私も金森さんにどう思われてるかとか、どうしたらもっと仲良くなれるかとか急に馬鹿らしくなっちゃった。
「私は同好会室に行きます」
私は黙ってうなづき、スニーカー柄のリュックを担ぐ金森さんを見守った。
不愛想で、人のことなんか気にしない、そんなあなたが好き。ただそれだけ。
「ねえ、金森さん」
「はい?」
「もういいってことはさ、私がこれからもあなたのこと好きでい続けてもいい?」
「お好きにどうぞ。でももう壁ドンはしませんよ」
「うん、わかってる」
遠ざかっていく彼女の背中にバイバイと手を振った。
振られちゃった。でも嬉しい。
いやいやとはいえ、金森さんが好きでい続けてもいいって許可してくれた。それだけで幸せ。
明日も明後日も、高校生活が終わるまでずっとこうして彼女を見ていられたらいいな。
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