第1章 波乱の幕開け
「え……………たるち?」
そこには私の幼馴染の、たるちがいた。
「………その呼び方、やっぱりももだよな?
え、なんでここにいるの?」
「いや、こっちの方が驚きなんだけど……。たるち、役者やってたの??」
「うん、まあ本業は仕事だけど。ももは?」
「私はお手伝い兼脚本助手兼居候。」
「お、簡潔で分かりやすいな。何となく把握。」
やっぱりたるちだ。
私とたるちは中学の途中まで家が近かったこともあり、よく遊んでいた。
私の家はゲーム禁止だったからよくたるちがゲームやってたの見てたっけ。
私が途中で転校してしまってからは疎遠だったけど、また会えると思わなかった。
「てか、よくたるちって呼んで気づいたね。」
「あー、俺今ゲームの名前それにしてるから。」
「え、そーなの?また随分可愛い名前にしてるね笑」
「は~?つけた張本人に言われるとか。」
こういったやりとりも昔に戻った気がして楽しい。
「それよりももも、なんでこんな時間に起きてるの?」
「………あー、実は荷物整理して寝ちゃって……。
これからお風呂とご飯なんだよね。」
そう言うとたるちは笑って「そっか。」と答えた。
「じゃあ、私とりあえず先にお風呂入ってくるから。」
「ん、じゃね。」
「…………嘘つき。ももは嘘つくの下手だな。」
真顔のたるちが私の後ろでそんなこと呟いてたなんて、知らなかった。