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ナルシサス。【煉獄杏寿郎】

第7章 漆ノ型. 気付く ~宇髄天元・冨岡義勇の場合~






何故それを刹那に言ったのかは分からない。



ただ、きっと今冨岡が求めているのは意見。




鬼であり人でもある刹那の意見だ。






刹那は少しだけ考える素振りを見せてから、





『良い選択だと思いますよ。』





そうにっこりと微笑んだ。





『冨岡様がその2人を信じたと言うなら、それでいいではありませんか。うじうじと考えず、心のままに。人生とは案外それで上手くいくものです。』






「しかし俺は、鱗滝さんにもあの2人にも険しい道を進めてしまったかもしれない。」



刹那の言葉を聞いてもなおそんな事を言う冨岡。




鱗滝さんというのが、冨岡の育手だろう。
師を案じる冨岡の気持ちは分からないでもない。




しかし、兄妹の運命を変えたであろう冨岡自身がこんな調子では余りにもその兄妹が不憫だと刹那は思う。






だから刹那は背中を押すのだ。




『育手の方であれば万が一にでも殺される事はありません。それに、少なくともその兄妹は救われた筈です。貴方の行動に。』




このあまりにも優しく真面目な男の背中を。




「俺はきっかけを与えたに過ぎない。」




『それで良いではありませんか。貴方は命を繋いだのです。繋がれた命をその2人がどう歩むのか、それを見守るのが貴方の次の役目となっただけですよ。』






「繋がれた...命。」

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