第7章 漆ノ型. 気付く ~宇髄天元・冨岡義勇の場合~
華奢な体に見合わない程重いものを抱える刹那を知って、自分の考えを改めねばと再度固く決意した宇髄。
「すまねえ、それと、ありがとう。」
何か強く決意したような表情をうかべた宇髄は、最後に感謝を述べて蝶屋敷を後にした。
胡蝶も他の隊員の治療が途中だからと部屋を出る。
「もっと自分を大切に。」
そう刹那に念を押して。
残ったのは煉獄。
2人きりになるのは刹那が煉獄家に来たあの日以来だ。
刹那の傍に椅子を寄せちょこんと座る姿に刹那は微笑む。
『ふふ、煉獄様はお戻りになられないのですか?』
そう呟く刹那に煉獄はむっとした表情。
言いたい事は山ほどある。
何故自分をかえりみないのかとか、
もっと方法があっただろうとか、
でも今1番思っているのは、
「生きていてよかった。」
『煉獄様...』
予想外の言葉に面食らう刹那の手を煉獄がキツく握りしめる。
「宇髄に君の事を聞いて気が気ではなかった。何故かは分からない、ただ....」
君の事で頭が一杯だった。
俯いたまま悲痛な声で言うものだから、刹那も少し申し訳なくなってしまう。
「君にもしもの事があったら、このまま目を覚まさなかったら....そんな事ばかりが頭を駆け巡って、柱として不甲斐ない。」
続ける煉獄に、
刹那は握られた手を少し握り返して、自分は生きていると脈を伝えることしか出来ない。