第7章 漆ノ型. 気付く ~宇髄天元・冨岡義勇の場合~
「ふぅ....」
最後の包帯を巻き終え胡蝶は一息つく。
一時はどうなる事かと思ったが、何とか血も止まり先程よりいくらか顔色の良い刹那。
鬼の血が流れているお陰なのか、治療前に内臓の損傷は劇的な速さで修復していた。
この調子なら2、3日もすれば傷も残さず完治するだろう。
鬼は余程の事が無ければ死なない。
とは言え、刹那は半分しか鬼の血が流れていないのだ。
何がきっかけで致命傷を負うかわからないと言うのに。
「まったく、自分の事をもっと大事にしてくださいね、刹那さん....」
宇髄は答えてくれなかったが、先程宇髄に後を任された隠の1人が別の怪我人を連れてきて簡単にだが話の流れを教えてくれた。
最初は宇髄を殴ってやりたいと思った胡蝶だったが、嫁を守りたいと思う余り刹那にキツイ言葉をかけてしまったのだろうとその隠が言うものだから
なんだか怒るのもはばかられてしまう。
宇髄はまだ刹那を見定めている段階だったのだから、無理もないかと思ったからだ。
そっと刹那に布団をかぶせそろそろ出ようかと扉へ向かう胡蝶は、ピタリと動きを止めた。
やけに廊下が騒がしい。