第7章 漆ノ型. 気付く ~宇髄天元・冨岡義勇の場合~
空が白み出した森の中を、煉獄邸へと走る中宇髄は刹那へ発してしまった言葉を悔やんでいた。
宇髄の言う責任。
発端は任務前の事であった。
宇髄は元忍という仕事柄、あまり人を信用しない。
それは誰もが知っている。
共に任務をこなして、自分が認めた者であれはそうでも無いが
信用していない者であれば、宇髄にとっての命の優先順位というものは必然的に低くなる。
だからというのもおかしな話だが、
元々刹那の斬首に対して賛成の意を示していた宇髄からすれば、今回始めて任務を共にする得体の知れない刹那の命は
何よりも下に位置づけた自分の命よりも、遥かに優先順位が下だった。
しかも今回は宇髄の嫁である3人も任務に参加している。
そのお陰なのか、普段よりも気を張っていた自覚は宇髄にもある。
だから宇髄は任務前、初めて刹那と対面した時釘を指したのだ。
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「俺はお前を信用してない。助けもしないし、助けてもらう気もない。今この場において俺が1番優先するのは嫁の命だ。」
「もしお前が嫁と対峙することになった時、絶対に刀を抜くな。」
「鬼よりも、信用していないお前が嫁の前で刀を持ってる方が俺は気に食わないからな。いいな?」
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今思えば酷い話だ。
鬼のいるあの状況で、自分の嫁が居る時刀を抜くななんて。
無理難題もいい所。
しかし刹那は宇髄の言いつけを守った。
嫁が居る時は刀を抜かなかったし、なんなら嫁の補助までこなしていた。