第7章 漆ノ型. 気付く ~宇髄天元・冨岡義勇の場合~
「酷い、なぜこんな...直ぐに治療します!宇髄さん、貴方は煉獄さんに連絡をお願いします。」
そう胡蝶が指示を出したところで、刹那が微かに目を開いた。
小さな呻きをあげて胡蝶と宇髄を交互にみやる。
『う、ずい様...申し訳、ありません...お手を煩わせてしまいました...しのぶも、忙しいでしょうに...ごめんなさい、ね.....』
そう言ったかと思えばまた意識を失う。
浅い呼吸を繰り返し、危機的状況なのは誰の目にも明らか。
「こんな時まで他人の心配ですか...」
そんな刹那が痛々しく、胡蝶は悲痛な表情で上唇を噛む。
「すまねえ胡蝶。こいつがこうなったのは俺の責任だ。」
刹那を診療台に寝かせながら宇髄が言う。
胡蝶も手を止めて宇髄を見た。
「どういう事ですか?一体2人の間に何が...」
強い刹那がここまでの痛手を負った理由を、胡蝶はただ知りたいのだ。
しかし宇髄はそんな胡蝶の問いに答える事もなく、部屋を飛び出す。
まるで、それ以上触れてくれるな。
そう言うように。