第5章 伍ノ型. 束の間の休息 ~甘露寺蜜璃・胡蝶しのぶの場合~
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「はぁ、楽しかった〜」
怒涛のお買い物からひと息着き、3人が甘味屋へ入ったのは日が傾き空がオレンジ色へと変わり始めた頃だった。
美味しそうに団子を口に頬張る甘露寺の傍には、山のように積まれた空の皿。
それを平らげたのは勿論甘露寺だ。
お店の人も驚いていた。
それはもうとてつもなく。
「甘露寺さん、口の端にあんこがついてますよ?」
「え?!やだ!恥ずかしいわ私ったら...」
両手で目だけを多いながら口元を突き出した甘露寺に、胡蝶がやれやれといった風に手ぬぐいであんこを取ってやる。
『ふふふ』
その微笑ましい光景を見て、刹那も堪らず笑ってしまう。
「うふふ、恥ずかしいわ恥ずかしいわ!」
「ふふふ」
それに釣られて甘露寺や胡蝶も笑う。
「刹那ちゃん、今日は楽しかった?」
ひとしきり3人で笑いあった後に、甘露寺が不意に聞いてきた。
『ええとても。こんなに笑ったの久しぶり。』
笑いすぎで目元に浮かぶ涙を拭いながら、素直な気持ちを伝える。
本当にとても楽しかった。
鬼のことも、これからの事も、
何も考えずにただ2人と慌ただしく過ごした今日1日はとても暖かくて、
出会ってまだ2週間経たないとは思えないくらいに心地よかった。
「良かったですね甘露寺さん。目標達成です。」
そう微笑んだ胡蝶の言葉に刹那は首を傾げた。
『目標?』