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ナルシサス。【煉獄杏寿郎】

第4章 肆ノ型. 共同護衛 ~不死川実弥・伊黒小芭内の場合~







強い意志を持った貴恵の声に刹那はにこりと笑った。





「勝手に盛り上がってるようだけど、お前達は全員俺に食われて死ぬんだよおおお」




視線の端で、ずっと大人しくしていた鬼が不敵な笑みを浮かべる。




__________
_____



刹那が貴恵に決断を迫る間ずっと鬼は考えていた。



この場にいる者で一番厄介なのは誰なのか。


動かない男3人はおそらく噂に聞く柱だろう。
顔持ちや殺気が今まで会った鬼狩りの誰よりも研ぎ澄まされているから。




ならばあの女の鬼狩りはどうか。

柱だろう男2人の刀を止めてしまう程の力。
そしてこの状況で全くといっていいほど思考が読み取れない、




終始穏やか、終始冷静。




どれだけ揺さぶっても揺れない声や動き。






言わば未知数。





考えに考え鬼は思ったのだ。







(この女が1番危険だ)






と。



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「死ねえええええ!」



飛び跳ねるような動きで自分へと迫る鬼の爪を、刹那は日輪刀で防いだ。




「まずはお前から食ってやるよおおお!!」




そのまま2撃、3撃と繰り出される鬼の攻撃はいとも容易く躱された。





苛立つ鬼が更に動きを速くしても、結局刹那の速さには勝てず全て防がれてしまう。



自分の中の最高速度の攻撃すら息も乱さず躱し品定めするかのように自分を見つめる刹那に、鬼の怒りは吹っ切れた。





「くそ!くそ!早く死ねよおおおお!」




渾身の力で大きく振りかぶった鬼の爪はやはり刹那をかすることすら出来ず、宙を切る。

冷静さをかいた動きなど刹那にしてみれば赤子の歩みのように遅い。






ヒュウウウウウウウウウウウ







目の前から消えた刹那を探す間もなく耳に飛び込む静かな呼吸音。

ほぼゼロ距離のそれに鬼の額から汗が垂れた。
喉元に感じる冷たい感触は間違いなく自分達を滅するそれの刃。






『もう、充分...貴方のお遊び、そろそろ終演いたしましょうね。』






ぞわりと背筋が凍ったのは何時ぶりか。




(死ぬ)






鬼の本能がそう告げた。


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