第36章 どっちもどっち
苛立ったように少し顔をしかめながら──言い捨ててその場を後にした宗次郎。
その顔がしかと赤く染まっていたのは一目瞭然で。
「ちょ、由美さん…あれ、なにっ。ずるいんだけどっ//」
「私が聞きたいわよ!この幸せ者!」
「あ、いたたたたた!!いきなり奥ぅ…」
「あっ、ごめんごめん。」
「──もう、調子狂うなぁ。」
自室へ辿り着いた宗次郎はため息をこぼした。
「なんで一々言わせようとするんだろう。小っ恥ずかしい…//ずるいと言いたいのは僕の方ですよ。」
だが…
「…でもちゃんと言わなきゃいけないことも、やっぱりありますよね。大事に想ってるならなおさら…」
その微笑みは少し満足げだった。
「…さて。叶さん戻ってきたらどうしようかな。…この機会に、恥ずかしいこと沢山言って困らせるのも楽しいかもしれませんね。」
にこにこと考えを巡らせながら、何気なく机を見た時にふと、違和感に気付く。
──少し引き出しが開いてる気がする。
ぴたりと閉めたのだが、ふと思い立って開けてみると、
「!」
飛び出したそれに反応し、右手で掴み取る。
びょん、と勢いよく宗次郎の目の前まで飛び出したのはヘビの玩具。宗次郎はしげしげと見つめた。
「多分…これ、叶さんですね。」
仕掛けが雑だなぁ、と漏れた朗らかな声。
にこにこと宗次郎は黒い笑みを浮かべた。
「戻ってきたら、お仕置きかなぁ…叶さん。」
どっちもどっち
(あ、あれ。由美さんなんか悪寒がする…?)
(?どうしたのかしら?)
(……あ。心当たりあった…あ-。)
(??)