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彼に食ってかかられる

第25章 形成逆転


嫌な予感しかしない。叶さんは僕の顔でニコニコニヤニヤしてる。なんだか頭痛もしてきた。


「うっふふ~!行っちゃうよ~!」


ああ、もう嫌だ。最悪だ。
叶さんは満面の笑みを浮かべながら刀に手を掛けた。



「ほれっ!……あ。」


──間抜けな声が上がる。



「抜けないや。えいっ、えいっ。」


どうやら刀を抜こうとしたみたいだけど、手慣れない為かガチャガチャと言わせながら辿々しく抜刀した。


「えー…これじゃ瞬天殺できないじゃん…」

「…よかった。」



運動神経や脚力を使いこなすのにはそれなりの体の動かし方が必要なのだけれど。どうやらそこは本人の技量そのままらしい。


「ほら、僕の格好でみっともないことしないでください。」

「むー。っていうか宗次郎、私の格好で躓きそうになるのやめてくれる?」

「…」


「嫁入り前の体に傷付けないでほしい。」

「だって、叶さんの体ちょっと重いんですよ。足上がらないし。普段から運動せず、寝て食べてばっかりだから。」

「レディに向かって何てこというの!!」

「今は叶さん、男でしょ。」



そう呟くと、叶さんは一瞬きょとん、とした。
静止した表情がこちらを見つめていたかと思うと、ニマッと笑ってこっちを見た。




「…何ですかその顔。」

「いいこと考えた…!」

「どうせろくでもないことですよね。」


「いやいや。宗次郎、今日は私が勝たせてもらうね?」

「は?」



えーいっ、と叶さんは勢いよく僕を押し倒した。




「わっ、ちょっと…!」


「はい、私の勝ち-♪」


迫り来る腕を振り払おうとするも、いとも簡単に叶さんによって抑え付けられ、馬乗りにされてしまった。
満足そうに微笑む僕の顔。
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