第8章 想い、ひとひら
取り上げられてもう戻らないと思ってたそれは再び私の手元へ。
「へ?返してくれるの?」
「いらないならその辺に貼り付けときますけど。」
「そ、それはやだ。」
慌てて手紙を後ろに隠した。
「せいぜい玉砕に向かって頑張ってください。」
「読んでないじゃん、わかんないじゃん。」
「わかりますよ。叶さんの知能なんてたかが知れてますから。」
あれ、デジャヴ…
「駄目だったら何か美味しいもの買ってあげますよ。」
「本当!?よし、頑張ろう。」
「本当に馬鹿ですね。」
「え?……!だって、美味しいものって言うから、つい!」
…あれ、なんかいつもの宗次郎に戻った?
…にこにこと得体の知れない笑顔、うん、いつもの宗次郎だ。
「甘味処でそうだなぁ、叶さんの大好きな苺のパフェでも。」
「頑張る!」
「…馬鹿ですね。」
想い、ひとひら
戸惑う強者。