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彼に食ってかかられる

第50章 過保護亭主


「ただいまぁ。」


長期の任務を終えてようやく帰ってきた宗次郎。疲労の様子が見えないのはさすが十本刀一の手練れというところ。
ただ、少し頬を赤らめながら、袖口にしまっていた包みを取り出して溜め息を吐く。


「…叶さんにお土産用意してきたんですけど、櫛なんて使うのかなぁ…いえ、使うようにさせないと。」


考えを巡らせながらアジトの回廊を進み、志々雄の元へ向かう。


「志々雄さん、ただいま。」

「ご苦労だったな。」

「いいえ。」

「坊や、お帰りなさい。」


報告を終えて暇を告げようとする宗次郎。


「じゃあ、僕はこれで。」

「…ああ、そうだ宗次郎。叶なんだがな。」

「?叶さんが何か?」


「志々雄様、叶が任務から帰還したとの連絡が。」


突如部屋に入ってきた方治の言葉をしかと捉える宗次郎からは笑みが消えていた。


宗「任務…?叶さんが、ですか?」

志「ああ。」

宗「あの、腕はからっきしで弱虫、立つのは口だけの叶さんが任務ですか?」

志「おまえ、やめてやれよ。」

宗「どういうことです?志々雄さん。」


志「実は叶から戦闘の役に立ちたいと申し出があってな(嘘)。試しに鍛えてやったところ。」

宗「……?」

志「恐るべき才能が目覚めやがった(大嘘)」


宗「…?え、あの叶さんがですか?」

由「今では叶も十本刀の一員よ。ねえ方治。」

方「あ、ああ…」


志「帰還したようだから直接本人に話を……縮地か。」

方「…志々雄様。」

志「なんだ方治。」

方「もしかすると…楽しんでおられますか?」



◆ ◆ ◆ ◆ ◆



「叶さん!?」

「!宗次郎!」


笑顔で駆け寄ってくる叶の姿に宗次郎は固まる。

実は後ろ姿を見た時から、普段と違う様相に戸惑いを感じてはいたのだが、間近で見つめるとその変化は如実に宗次郎の脳裏に訴えかけるのであった。


(というか着物の裾が…太ももが見えてる…)

「ねえ聞いてよ!私、実は十本刀になったの!」

「叶さん、一体何があったんですか…?」
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