第49章 彼女も十本刀に?
※宗次郎が任務で一ヶ月程留守にしています。
「お願いお願い!お願いします!」
「うるせえ。おまえの頼みはろくなもんじゃねえ。」
勢い込んで嵐のように同じ文言を繰り返す叶に相対する志々雄さん。
冷たく突っぱねる言葉もなんのその、叶は諦めなかった。
「お願いしますお願いします!一生のお願いです!」
「おまえの一生は何回あるんだ。」
「あっそれ前にも何回か言われた気がするっ。じゃあ志々雄さんの一生も合わせて二生のお願いです!!」
「阿呆も大概にしろ。」
「そこをなんとかお願いしますってばぁ…!宗次郎が出掛ける時につい大見得切っちゃって。“戻ってくる時には十本刀にあんたの席、ねえから!私が志々雄さんの右腕になってるから!”って!
もう今日帰ってくるでしょ!?なんとかしてよぉ~!」
「馬鹿なのか?馬鹿なのか?いや知り尽くしてたけどよ。おまえそれ無理だろ。」
「私も気付いた。今朝。」
「今朝かよ。」
はっとした顔になる叶。
「じゃあ折衷案でここは一つ!今日だけ皆私を十本刀の一員として持ち上げて扱ってくれませんか~!?きっと宗次郎ショック受けるよ?驚いた宗次郎もにこにこしてるのかどうか明らかになるよ!楽しくないですか!?」
「どういう折衷案だよ。」
「私のこの思いよりも強い想いなんて、見たことある?志々雄さん!この世は所詮弱肉強食!!私の執着心は何よりも強い!!ねえ、お願いしますよ~!」
「まあ…一日楽しめる分には問題ねえからな。乗ってやるよ。」
「ま!?」
「男に二言はねえよ(まあ面白そうだしな)」
「わあ!志々雄さんありがとう~!あ、それと今度は由美さん!由美さんにもお願いがあるの!」
実はずっと志々雄さんの傍らで呆れ顔をしながら聞いていた由美さん。