第12章 No.11 (インハイ2日目)
こいつはデータをよく集めてやがる…。
まさかそこまで知られているとは思わなかった…。
御堂筋「追い抜き、左側ができひんのやろ?」
左側にずっと御堂筋くんはいる。
どうしよう。
寿一、靖友、尽八が一緒に俺と走ってくれて、
俺がうさ吉の母親を轢いてしまった日から、
俺は怖くてロードに乗れなくて、
そんな俺の支えになってくれたみんなのためにも、
俺は絶対にスプリントリザルトを獲りたい。
そしてなんといっても、あと数メートルでちゃんが見えてくるはずだ。
俺は利き足についてるミサンガに目をむけた。
『ありがとう』
なんでこんなタイミングでちゃんの顔が浮かぶんだ。
くそ、どうする、新開隼人。
「新開ーーーーーーーーー!」
少し遠くから聞こえた。
確実に聞こえた。
ちゃんの声。
「御堂筋くん…箱根の直線に鬼が出るって知ってるかい…?」
やるしかない。
ごめん、うさ吉。