第10章 No.10
尽八という邪魔ものが入ったものの、
私は
一瞬の出来事にずっとドキドキしていた。
あんなに早いんだ。
レースになるとあんなにみんな変わるんだ。
練習でしか走ってるところをみたことがなかった私は、
なんだか全く別の新開を見ている様だった。
しばらく立ち尽くしていたら、後ろから黒田にまた声をかけられた。
黒田「さん、次のスポット行きますよ。」
「え、何これ、ツアーみたい。笑」
黒田「まあ、そんなモンです。笑」
また私は黒田に連れてかれた。
今度はずっと山を登った。
「ねーーーーまだ?足疲れた。」
黒田「頑張ってください!これはさすがにさんをスポットまで連れてかないと、俺、ヤラれます。」
「え、そういう癖もってる人…?」
黒田「ちょ、そっちのヤるじゃないですよ、やめてください。あと少しなんで黙って足動かしてください。」
「冷たいなー。」
着いたのは山のてっぺんだった。
たくさんの人が集まっていた。
一体何故わざわざこんなところまで連れてきたんだろうと、不機嫌になっている私を見て黒田は優しく笑いかけた。
黒田「さん、ここは山岳賞を決めるラインなんです。」
「ふーん。」
黒田「ちょっと、なんスかその反応。東堂さんが巻島さんと戦うんです。」
「戦うとかそういうのちょっとよくわからないけど、尽八と巻ちゃんが登ってくるのは分かった。」
黒田「それだけ分かればいいです。笑」
私は新開と目が合ってほくほくした気持ちだったのに、尽八にかき消されてしまうのかー。
と、すこしムスっとなったけど、
よく考えてみると、尽八の本気って見たことないし、
やっぱり「一応」幼馴染として、
ちゃんと応援してあげようって、思った。
偉いなー私。