第7章 No.7
ー新開side
俺は尽八と靖友に送り出されて、ちゃんとの待ち合わせ場所へと向かう。
あまりデートに行ったことがないかもな、と歩きながら考えていた。
ん、むしろ人生で初めてのデートなんじゃないか…。
と思うくらいだ。
俺の中学・高校の人生はずっと自転車だけだったからな。
俺がうさ吉の母親を轢いてしまって、しばらく自転車に乗れなかった間も、結局家とうさ吉の往復で、女の子とデートなんて行ってなかった。
どういう話をすればいいのか分からないし、なにが正解なのか分からない。
はぁ、待ち合わせ場所まであと少し。
俺は自分の鼓動が早くなっていくのが分かった。
だって、待ち合わせ場所には既にちゃんが待っていたのだから。
初めてちゃんとみるちゃんの私服。
可愛すぎず、ラフすぎず、絶妙にお洒落だった。
「お待たせ!待たせちゃったかな?」
「ううん、本当に今ついたところ!」
「本当かよ?笑」
「本当だよ。笑」
俺たちはうさぎカフェに行く前にお腹を軽く満たしてから、行くことにした。
意外と食べ歩きができる温泉街箱根。
小腹を満たすのにはもってこいの場所だ。
「新開ー!あれおいしそうだよ。」
そう言って俺の腕を引っ張る。
無邪気な子供みたいだ。笑
ちゃんが指さしたのはしらすコロッケ。
江の島で獲れた新鮮なしらすを使ったコロッケだ。
しらすの味がしすぎずすごくおいしい。
「いいね。 おばちゃん、2個ください。」
店員さん「はいよ。箱根デート?お似合いな二人だね。」
「あ、いや、え…」
焦るちゃん。
頬が赤くなっていく。
「ははは、ありがとう、おばちゃん。」
否定しないさ。
そうみられているなら、最高だ。
…そうなれればいいんだけどな。
「ちょっと新開…否定しなよ!恥ずかしいじゃん…///」
「はははっ、悪い悪い。けどそんなちゃんもすぐには否定しなかったけどな?」
「それは!突然あんなこと言われたからびっくりして…」
俺はごめんごめんと謝りながら、しらすコロッケを渡した。
「これ、お詫びな。」
「…許す。」