第5章 No.5
ボロボロになった荒北を新開と東堂が抱えて、
私は荒北のビアンキをひいて、みんなでのろのろと箱根まで帰った。
ずっと一匹狼の私だったけど、
友達って悪くないな。
時には人に頼ることも大事なんだね。
一人で抱えてるままじゃ、
解決できないこともある。
私は人をなかなか信用できない人だし、
人に迷惑をかけたくないって思う人だったから、
なんでも自分ひとりでどうにかしようとしてた。
だけど、荒北は、
友達の温かさとか、
人間不信な私の心を少しずつ溶かしてくれたり、
最初はただの目つき悪いやっかいな奴だと思ってたけど、
どうやら違った。
確かに凄く不器用で、口下手だけど、
本当は誰よりもひと思いで、
誰よりも優しいんだね、
靖友。