第24章 時は止まらず動き出す

「うん。私、もう実弥と2人で寝ない。」
実『ソレは頼むから勘弁してくんねェか？』

ただ確認はしたいから
変わらずにそのままでいて欲しい。

「…仕方ないから理由がある時だけね。」
実『毎日理由作ってこいよ。』

「…そうなると思う。」
実『そしたらクソほど甘やかしてやる。』

欲を言えばが自分を特別だと
思ってくれている確認を嫌という程させて欲しい。


「…好きって……怖いね…。」

実『お前、本当に馬鹿だなァ。
……怖くねェよ。そのままで良いんだ。』


そんなことを繰り返して
の事が大切すぎて気が狂って突き放した時は
いつもみたいに黙って前へ進んでくれ。

その姿を見れば俺はまた心配になって
そんなを守りたいと
何度だって追いかけ回してみせるから。


「うん。皆のとこ…戻んないとね。」

実『先に戻ってろよ、俺は後から行く。』


鬼が消えるまで。明確に目標は見えてるんだ。
それをひたすら突き進めばいい。


「…一緒にいかないの？」

実『痛てェから……先行ってろ。』


だからそれ迄、俺を好きでいてくれ。

俺もそうなるように不器用なりに
なんとか気持ちを伝えてやるから。


「え？どこかぶつけたの？」

実『だから、散々我慢して痛てぇんだ。』

「…ん？」

実『てめェ…。いい加減察しろよっ！！
俺はっ！！ちんこが勃ってて痛てぇから
抜いてから行くっていってんだよっっ！！！』

「え、あ…っ！ご、ごめんなさいっ！！」


情けない叫びは正直な怒号で何とか伝わった。

____パタパタ。と焦ったように部屋を後にする
真っ赤なをしっかり見送ってから
実弥は深いため息をついた。


実『くそっ、何時になったら抱けんだよ。
何回目だ？3回目か。なんでいつもこうなる。
全部鬼のせいだ……皆殺しにしてやる…。』


自分の優しさを鬼のせいにして
ついでにまた鬼滅の想いを強くする彼は
あまりにも元気な己を恨めしく睨んでから
また頭を抱えてため息をつくしかなかった。


実『…可愛さで人殺せるなァ…あの馬鹿。』


ため息と共に呟いたその声はやけに優しく
1人になった部屋に響き渡った。