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FFⅨ Hi Betty! (Long)

第6章 dress up doll


「ところで、ドレスだ。」
「来週だっけ?」
「仕立ては間に合わないから、サイズが合うのを買わないといけないね。」

ドレスの準備については、オーダーすれば最低でも一ヶ月はかかる。
クジャの言う通り、当日には間に合うはずもなかった。

「私は着れればなんでも。」
「そういうわけにはいかないよ。そうだねぇ、この辺だと三軒くらいは見て回りたいところだ。」
「そんなに回るの?」

一軒で何着試着するのか、一着何分かかるのか、計算しようとしたが途中でやめた。
答えを出したところで、実際の時間と一致するわけもないし、時間を考えたら気が滅入りそうになると気づいたからだ。
彼の着せ替え人形になる姿を想像するのは容易だった。

***

「ねぇ、もう充分だと思うんだけど。」
「そんなことありませんわ。しっかり絞ってあげた方がウエストが綺麗に見えますのよ?」

私はフィッテングルームで女性二人に取り囲まれコルセットを締め上げられていた。
ガーネット姫の着付けを手伝う時は私もコルセットはきつめに締めるようにはしていたが、これでは呼吸が苦しくて仕方ない。
姫からは文句を言われることはなかったが、我慢していたのだろうか。
先程から苦しいとは訴えているのだが、全くもって意見は通らなかった。
恐らく、初めての舞踏会でこういったドレスを着慣れていないと伝えたことも影響しているのだろう。
コルセットが締められれば、クリノリンと呼ばれるワイヤーを輪状に連ねた骨組みをつけられ、その後にドレスが重ねられた。
上流階級のご令嬢の間では、一時期、馬鹿みたいに盛られたスカートが流行したのだが、扉が通れなかったり、暖炉の火が引火したりなど実生活への影響があまりに大きかったので、最近は落ち着いてきた。
私の着ているドレスはボリュームが抑えられているので少し安心した。
そもそもを言うと、舞踏会で踊れないようなドレスを選ぶことはないのだが。

「出来上がりましたわ。」

着付けを手伝ってくれた女性の一人が、フィッテングルームのカーテンを開けた。
クジャは従業員の女性と話しながら、店内のドレスを見ていた。
カーテンが開くのに気がついたクジャはこちらを振り返った。

「こんな感じ。」
「悪くはないね。」

襟ぐりが肩まで開いた青のドレスだった。
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