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FFⅨ Hi Betty! (Long)

第5章 liquid courage


「…シェリー。」

彼の指先が顎に添えられたのが合図だった。
唇が触れ合い、大きな手のひらが頬を包み込んだ。
何も考えることなどなかった。
ゆっくりとお互いの唇の感触を確かめ合い、それが必然であるかのように舌先を絡めた。
どちらがどちらなのか、わからなくなるくらいに思考は蕩けきっていて、心臓が壊れそうなくらい鼓動していた。
唇が離れる頃には、身体の力など抜けきっていて、自然と彼にもたれかかる体勢となった。

「クジャ…、あんまり弄ばないで。」

目に涙が溜まっていることにやっと気づいた。
そして、何を失ったのか喪失感のようなものが胸の辺りで騒いていた。
自分に何が起きているのか理解ができなかった。

「弄んでなんかないさ。好きになるのがどういうことかは、自分で確かめてみたらどうだい?」

既に答えは出ているのかもしれない。
しかし、決心がつかなかった。

「今ね、このまま離れたくないって思ってるの。…でも、すごく怖い。」
「そうかい。それはそれは随分と可愛らしい誘い文句じゃないか。」

クジャは私の身体を包み込んだまま、離さなかった。
ずっとずっと、永遠にこの時が続くのではないかとさえ錯覚した。
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