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FFⅨ Hi Betty! (Long)

第1章 empty


シェリーは真っ白なティーセットをテーブル並べる。
それらは置くたびに、コトッと小さく子気味のいい音を立てた。
シェリーはこの小振りながらも質感のあるティーセットを気に入っていた。
ティーセットは、このトレノの屋敷の主であるクジャ様と一緒に購入したものだった。

クジャ様と初めて出会ったのは、半年ほど前だっただろうか。
当時、私はアレクサンドリアの女王、ブラネ様の侍女で、ブラネ様の身の回りのことはもちろん、来客があればその対応もしていた。
クジャ様は、半年ほど前からブラネ様とよく面会するようになり、その頃から私も顔を合わせるようになった。

トレノの武器商人と名乗るクジャ様は謎の多い男だった。
事の始まりは、ブラネ様の元に軍事力を強化しないかといった旨の書面を送られてきたことだった。
ブラネ様は最初こそ怪しげな書面と訝しんでいたが、内容を読んでからの動きは燕返しのごとく、鮮やかでスムーズだった。
ブラネ様はクジャ様との面会を取り付け、クジャ様はその面会にて黒魔道士の生産や、召喚獣の入手方法など、ありとあらゆる不穏な内容をブラネ様に吹き込んだ。
それからというもの、ブラネ様はことあるごとにクジャ様に相談を持ちかけるようになる。
クジャ様は何でも知っていた。
ブラネ様はクジャ様に言われるがまま、提案を受け入れ、クジャ様は着実にブラネ様の信頼をものにしていった。

私はブラネ様の側近であった為、様々な内容を知ることができた。
同時に、クジャ様がアレクサンドリアに戦争を起こさせかねない人物であると悟っていた。
しかし、私にとってはたいしたことではなかった。
アレクサンドリアが戦争を起こそうが、何をしようが、私はただブラネ様に従うだけ。そう決めていたからだ。
だから、常にブラネ様の側にいることを許されていたのかもしれない。
私はブラネ様に反抗することも、聞いた内容を口外すこともないからだ。
無論、この先もずっとブラネ様のお側にいるのだと思っていた。
しかし、事件は数日前に起こった。
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