第2章 オリジナルホムンクルスとの恋
外は土砂降りの雨の滝のよう。俺は路地裏に隠れて買い出しの物を置いた後、涙を雨のしずくに例え、シャワーの如く浴びていくまま、ずぶ濡れの子犬状態。季節は11月後半。このままいると危険になってしまう。帰ったら葵さんと光さんに合わせる顔がない。
帰りたくないーーー怖い。
何かが壊れてしまいそうだ。
「レイン!!!!はぁ・・・っ。こんな所にいたのか。何やってたんだよ!こんなにずぶ濡れになって・・・心配しただろ。帰るぞ?」
パシッ
「嫌だ。帰りたくない。顔も見たくない、声も聞きたくない。目障りだ!」生まれて初めての反抗。葵さんは驚き丸くなっていたが、冷静に俺に向き合うと
「レイン。何をそんなに焦ってる?お願いだからこっち見て話しろ。もういつまでも子供じゃないから、それくらいわかるだろ?」
するとレインの口からこんな言葉が
「一緒に話してた南さんという名前の女性いましたよね。彼女とはどんな関係なんだ?」
「急に命令口調か?南さんは海外の研究で世話になった先輩だよ。どうしてそんなーーーまさか、あの時お前見ていたのか?」
「えぇ、そうだよ。見てましたよ。凄く楽しそうに。研究所にいる時よりも俺達といるよりもあんなにニコニコ笑っていて。心が痛いんだ。苦しいんだ。モヤモヤして晴れないんだよ!!何なんだよこれは・・・っ。このままだと壊れてしまうーーーうぅ・・・あぁ!」
子供のように泣きじゃくる姿に、愛情もって強く抱いてあやすと少しずつ泣く声はおさまっていった。ったく・・・
「心配してるから研究所に帰るぞ。」
「・・・・・・」
「レイン。おい、どうした?」
呼びかけても返事してくれず、顔もあげない。まさかと思って耳を傾けると
「っ。はぁ、はぁ・・・」
「熱出してる?レイン!!しっかりしろ!待ってろ。研究所に連れていくから、俺達の前から死ぬな!!!!」
傘を閉じて、お姫様抱っこスタイルでレインを担いで雨の中をひたすら走り回る。
命よりも大切な家族として生まれてきたレイン。お願いだ。死なないでくれーーーっ!!!!