• テキストサイズ

◆DQX "シフォンケーキは誰のもの?"

第1章 伝わらない|スキルマスター



部屋に着き、ベッドに優しく下ろされる

「あの、もう私大丈夫なので帰ります。」

そう言って起き上がろうとすると制止され
思うように力が入らずそのままベッドに逆戻り

彼の顔を見ると
私が気持ちを伝えた時のように
困ったような悲しそうな顔をしていた


「…○○さん、うちのディエゴが
すみませんでした。
身体、痛かったでしょう…?」

「いえ、大丈夫です。
ディエゴは悪くないですよ。気にしないでください。」

… …何故か黙ってしまった、彼

好きで好きでやまなかった彼と2人きりでいるのに
今は、帰りたくて仕方ない

彼の困った顔を悲しそうな顔を
これ以上見たくない

そうさせる原因が私なら
私がいなければいい話だ

そうすれば、彼はこんな顔をせずに済む

私が体を起こしたと同時に
彼が口を開く


「もう…
私の名前は呼んでくれないのですか。」

○○さん、と悲しそうな瞳で
見つめてくる


彼の名前を呼んでしまえば、
好きという感情がまた出てきてしまう

それはもう だめなんだ


「私じゃなくても、他の方が呼んでくれますよ。」


ベッドから立って、ゆっくりと
歩を進めながら答えた

この部屋から出たら、もう本当にさよならだ。
彼とはこれきりだろうな、なんて考えながら

「… … 他の人じゃ、意味がないんです。
私は貴女に呼ばれたい。」


「何言ってるんですか。
そんな事言ってると本気にされますよ。
気をつけてくださいね。」


いつかの彼が私に言ったことを
真似て返した


はっ、と気づいた表情の後
暫く口を噤むマスター

「私は、○○さんにこんなにも
酷い事を言ってしまったんですね…。」

「今更遅いかもしれません、だけど
私は○○さんの事が好きです。

…貴女が来ないこの2ヶ月近くの間
貴女の事を考えていました。

私は○○さんと一線を超えてしまって
貴女をもしかしたらいつか
失う時があるかもしれないと
考えたら、怖気付いて
気持ちに応えられませんでした。

…でも気がついたんです。貴女が此処に来てくれず、
私を好きだという可愛らしい声も、
笑顔も感じられない事よりも大きな後悔はないと……。」


もし、よければお返事を頂けませんか?
と不安そうな瞳で私を見つめるマスター


/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp