第17章 ●犯人の正体●
今日は団長も兵長も夜会で留守だった。
居室では暗くて本が読めないので、談話室で本を読んでいるとフロイドが現れた。
「今日は一人なんだね」
「えぇ、今日は団長も兵長も夜会に行かれてますので」
「そっか。良かったら紅茶を入れるけどエマちゃんも飲まないかい?」
「ありがとうございます、いただきます」
そう言うとフロイドは温かい温度の紅茶を淹れてくれた。
私は丁度喉が渇いていたこともあって、半分くらいを一気に飲んだ。
紅茶に口をつけながらフロイドは話し始めた。
「レイドは君のことが好きだったみたいでね。
本当によく君の話をしていた。
レイドが君の代わりに死んだと聞いた時、レイドらしいなと思ったよ…」
目を伏して話すフロイドに、私はなんと答えていいかわからず目を伏せ黙った。
「そうして助かった君はレイドの想いに応えなかったばかりか、団長と兵長の二人を相手してるらしいね。
そんなアバズレの代わりに可愛くて優秀な弟が死んだと思うと僕は君をどうしても許すことが出来なくてね…」