第16章 元通りの日常
「レイドのお兄さんですか。彼のことは申し訳ありませんでした。
彼からはお兄さんの話を訓練時代、良く聞いていました。
非常に優秀で尊敬しているお兄さんがいる、と」
「嫌だなぁ、恥ずかしいよ。
僕もレイドからエマちゃんのことは聞いていたよ。ここでは僕も新人だから色々教えてもらえるかな」
「えぇ、もちろん。よろしくお願いします」
フロイドはやはり優秀で、憲兵にいたにも関わらず調査兵団の兵士と変わらないくらいの立体機動の使い手だった。
「フロイドさん、すごいですね!やはり優秀なレイドが自慢していたのもわかります」
「エマちゃん、ありがとう。
まぁけど持ち上げるのはそのくらいにしといてよ。
きみには敵わないんだから」
と、困ったように笑いながら言った。
フロイドと話すことはレイドと話すことと似ていて、あまり話相手のいない私にとってすぐに貴重な存在となった。