第16章 元通りの日常
あれから昼・夜と兵長に食事を用意してもらい、夜にもう一度抱かれた。
兵長からは明日以降は元の部屋に戻って大丈夫だと言われた。
朝起きた後に兵長の自室を後にしたが、心に大きな穴が空いたような気分になった。
「エマ〜!大変だったね!もう身体は大丈夫なのかい?
まぁしばらくは訓練だから、また体調が優れなかったら遠慮なく言うんだよ!」
「ありがとうございます、ご心配をお掛けしましたハンジさん。もう大丈夫ですよ」
兵長曰く、ハンジさんは私の直接の上官なので何があったか伏せる事はできないとのことだった。
ハンジさんは優しい。
細かく聞くことはせず、その日一日久しぶりの訓練でも病み上がりの私は身体を慣らすようなメニューにされ、もっとやろうとすると止められた。
一日が終わりハンジさんと夕食を取っていると、
「エマ、そういえばエルヴィンが夕食が終わったら執務室に来るよう伝えろって言われてたんだった」
「了解です」
ハンジさんはまぁ忘れてたんだろうが、悪気なしに伝達する。多分急ぎでは無いことがわかっていたんだろう。
また書類だろうか。
だが、仕事とはいえエルヴィン団長と二人になるのに何も感じないわけではなかった。
「失礼します、エマ=ライトニングです」
団長に入るよう促され入室する。
「エマ、体調はどうだい?リヴァイからはもうもう問題ないと聞いているが」
「はっ。問題ありません。訓練もしましたが特に違和感もありませんでした。ご心配をお掛けし申し訳ありません」
エルヴィン団長はいつもの皆に向ける優しい笑顔で、
「そうか。それなら良かった。大丈夫ならまた書類を手伝ってもらいたいんだが、構わないか?」