第12章 ●選択●
バターン!!!!』
一瞬意識が途絶えたところに扉の開く大きな音が聞こえた。
「おい、エマ!しっかりしろ!」
聞き覚えのある声。
リヴァイ兵長…
「…へいちょう…、すみません…また私、折角へいちょ…が注意、して、くれてたのに…」
「説教なら後でしてやる、ここを出るぞ!」
私は裸のまま毛布に包まれ兵長に抱えられて、そのまま元々取ってあった宿へと連れていかれたようだった。
ベッドにバサッと降ろされ兵長は洗面所でタオルを濡らし、私の身体を拭き始めた。
私は裸のままだが兵長は気にしていないようだ。
だが、クスリの効果はまだ全然切れておらず、
「へい…ちょ…、すみません…私身体が…おかしくって…多分ですが…媚薬…盛られて…」
「あ?おい…」
「自分…で…やりま…す」
「……構わん、じっとしとけ」
「ダメ…なんです。触られると…」
必死で兵長からタオルを取ろうとした。
裸はこの際仕方ないとして、この醜態を晒すのはたまらなく辛い。
「クスリ…抜いて欲しいか」
兵長が声を押し殺して私に問う。
そんな方法があるのか?
「この手のクスリは時間経過だけだとなかなか抜けない。一週間はこんな調子だろう。楽にして欲しいか。早く抜きたけりゃ俺に身を委ねろ」
身を委ねろ、兵長に抱かれるということか。
しかし一週間もこんな状態は無理だ。誰にも会えず何もできない、むしろ何かしてしまう方が堪らない。
返事をする代わりに、コクコクと頷き兵長を見上げた。
兵長は私の身体を丁寧に拭き上げ、私はその間声を押し殺すのに自分の手を必死で噛んでいた。