第9章 初陣の傷跡
目を覚ますと、白い天井が目に入った。
あれ?ここはどこ?
私は…何を……
「エマっ!目を覚ましたかい!?動いちゃダメだよ!」
声の主はハンジさん?
「ハンジさん、あの、私…」
状況が飲み込めない私にハンジさんは重い口を開いた。
「…エマ。君は壁外調査の際に巨人と戦ったのは覚えてるかい?その際に負傷して、今医務室にいる」
あぁ、あれは現実だったのか。
なら、レイドは?
「君は巨人との戦いで巨人に掴まれ肋骨三本と地面に落ちた時に左脚を折った。重傷だよ。そして、君を助けた君の同期の…レイドくんって言ったよね。彼は巨人に食われた」
淡々とその後も説明が続いた。
負傷しても戦おうとした私をハンジさんが止め、危うく二人とも食われそうになってたところをリヴァイ兵長が助けてくれたこと。
捕獲装置の設置は叶わなかったが物資の補給は出来たこと。
幸いにも帰りは殆ど巨人との遭遇が無く、被害も無かったということ。
「彼のことは…残念だったね」
ハンジさんはそれだけ言った。