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白銀の女神[リヴァイ・エルヴィン]

第7章 調整日


こんな会話をするが、2人の間に悲壮感は無い。
ただ明日からの大仕事を控えそれぞれなんとも言えない高揚感に黙した。


「…エマ、この後ちょっといいか?
中庭で少し話したいんだけど」


「うん、いいよ」


一緒に中庭に出て、ゆっくりと歩く。


「…エマ、ずっと…言えなかったんだけど…」


レイドが真剣な眼差しで私を見つめる。


「…エマことが好きだ」


レイドの言葉と共に爽やかな風が頰を撫でた。

そうか…。そうだったのか…。
けど…私は…。


「…レイド、私は…」


「いや、エマ…いいんだ。困らせてごめんな。
けど、調査の前に伝えておきたかったんだ」


と、切なそうに笑いながら言った。
そうか、それで早く帰ってきたのか。
ごめんね。
完璧なあなたに、私なんて不釣り合いだ。


「ありがとう。でも、まるで遺言みたいなことはやめて。
生きて帰るんだから」


と、笑顔で返した。
するとレイドもいつもの調子で、


「そうだな!なんたって俺はいつかリヴァイ班に入って兵長の下で働くんだからな!」


「そうだよ!今回レイドは右翼後方伝達だったよね。
私のいる荷馬車班とも近いし、巨人との遭遇も少ないかもしれない」


「あんまり巨人と会わないのも困るんだよなぁ〜、討伐数稼がないと評価されないからな!」


ふふふっ、とお互い笑いあい、いつもの空気に戻った。


「エマ、一度だけ抱きしめてもいいか?」


さっきの真剣な感じとは違い、レイド独特の爽やかな雰囲気で、まるで友人同士がするハグを求めるように言われた。


「うん、どうぞ」


両手を広げる。

お互いの健闘を祈る、というような意味合いの抱きしめ方だった。


いよいよ明日は壁外調査だ。
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