第7章 調整日
調整日は各々、家族に会いに行く者もいれば街に繰り出して昼酒を嗜む者、恋人と逢瀬をする者、それぞれだ。
皆共通しているのは、明日壁外調査に出たら死ぬかもしれない、というのが頭のどこかにあること。
覚悟しているとはいえ、何も感じないわけにはいかないのが普通なんだろう。
私は特に家族や会いたい人もいない為兵舎で最終チェックと軽くトレーニングをし、そのまま食堂で早めの夕食をとっていた。
「よう、エマ、一緒にいいか?」
レイドが来た。確か、朝から家族に会いに行くと言ってたがもう戻ってきたのか。
「どうぞ。早い戻りね、ゆっくりご家族と過ごせばいいのに」
「大丈夫だよ。しっかり顔、見せてきたから」
と、屈託のない笑顔で言う。
レイドは暖かい家庭で愛されながら育ったんだろう。
志も高く、実力もある。
同期の女子達がレイドを見て騒ぐのもわかる。
周りと関わる事から逃げている私ですら受け止める器量がある。
「ちゃんと生きて帰って、また顔を見せないとね」
「そうだな…」