第4章 二つ目の新しい仕事
「んっ…!ふっ……!はぁっっ…!!」
ようやく離してもらえた。
息が出来なかったので、酸欠でクラクラする。
それにクラクラするだけでなくなにかフワフワして身体の奥から溶け落ちてしまいそうだ。
「…お前は隙があり過ぎる。訓練の時のようにもう少し気を張れ。
兵団内も完全に安全ってわけじゃねぇからな。」
それを今あなたが言いますか。
だが、確かにそうかもしれない。
実際、兵団内では普通に恋人同士の者もいるが、身体だけの繋がりというのも珍しい話ではない。
人肌に触れることで明日への恐怖から目を背けたいのもわかる。
特に女性兵士は妊娠したものの父親がわからないまま退団するなんて話もあまり珍しくはない。
「…はい、気をつけます」
なんとか返事をした。まだ顔は紅いと思う。
「お前、明日からも来い。
エルヴィンが戻ってきたら、エルヴィンのところに行かない日は俺のところに来い」
あぁ、さっき次があるような話だったな。
まぁ私の場合、空き時間も仕事をして過ごす方が性に合ってる。
「了解です、では明日以降は私がお茶を淹れさせていただきますね」
そういって執務室を後にした。
キスは…初めてだったんだけど…
きっと兵長にとっては日常茶飯事なのだろう。
私自身、関心が無いとはいえ自分を安売りするつもりはないが…
うーん…もう…気にするのはやめよう。