第1章 出会い
「これが本物の敬礼だ!!!
心臓を捧げよ!!!」
エルヴィン団長による新兵勧誘式が終わり、私の調査兵団への入団が決まった。
私、 エマ=ライトニングは明日から自由の翼を身に纏い公に心臓を捧げた兵士として生きる。
壁外調査の次回日程はまだ決まっていないらしいので当面は訓練になるだろうが、それもそう遠くない内に壁外へ出ることになるだろう。
なにしろ壁内は食料不足で、早急にウォールマリアの奪還が必要だからだ。その為の航路の整備、物資の補給、危険度の割に地味だが少しずつでも進んでいかなければいけない。
「エマはてっきり憲兵団へ行くと思ったぜ!せっかく首席になったのに」
新兵勧誘式が終わり兵舎へ戻る最中、同期のレイド=ローゼスが話しかけてくる。レイドも調査兵団へ入団した。
「内地で飼われるように暮らすのは性に合わない。壁外に出る為に兵士になったようなものだし。それにあなただって二番なのに調査兵団じゃない?」
「俺は人類最強のリヴァイ兵長の下で働きたいんだよ!いつか精鋭揃いのリヴァイ班に選ばれるように活躍するんだ!そして人類を巨人から解放する!」
レイドは少年のように眼をキラキラさせて話す。レイドのようにリヴァイ兵長に憧れて調査兵団へ入団するものも男女問わず少なくない。
「人類最強だけど、思ってたより小柄だったね…」
「おい!エマ!それは…」
先程の新兵勧誘式の際にエルヴィン団長の後ろに幹部が並んでおり、その中に一人雰囲気の違う人がいたのだ。すぐにそれがリヴァイ兵長だとわかった。何故か物凄く目を惹かれてしまい、つい見入ってしまった。
…目が合った気がした…
胸が大きく高鳴り、まるで心臓を貫かれたようだった。