第36章 クーデターと硬質化
「リヴァイ!エマ!おっそいよー!二人してどこほっつき歩いてたんだよ!!」
小屋に戻るとハンジさん達が到着していた。
勿論、情事に耽っていたなんて言う訳にはいかず、私達は黙っていた。
「彼らには先に食事を摂ってもらったから、君達もさっさと食べてくれ」
バツが悪そうに座るエレンと、思うところがあるような顔や我関せずといった面持ちの104期達の姿がそこにはあった。
ハンジさんに言われ私はパンとスープを早々に飲み込んだ。兵長は元々あまり食事に関心が無いのか、残すことはしないが適当にモソモソと食べていた。
「今朝、ニック司祭が殺された」
ハンジさんは、私達が食事を終えたのを見計らい、そう告げた。
「それで予定より早くこっちに来たってことか」
兵長はそう言い、事態の深刻さから眉間のシワが一層深くなった。
「私が甘かった。ニックが殺されたのは私の責任だ」
いつも陽気なハンジさんが思い詰めた表情で言った。
兵舎で匿っていたウォール教司祭のニック氏は、今朝方遺体で発見された。
ハンジさんとモブリットさんとで確認しに行ったが、そこには既に中央憲兵が来ていた。
詳細はわからないものの微かに見えた遺体の爪が剥がされていた事などから、ニック氏は拷問を受けて殺されたのだろうとの事だった。